ルルルルルル…
――まただ
ルルルルルル…
――また、『地獄への招待状』が来た
ルルルルルル…
――はっきり言って、出たくは無い
ルルルルルル…
――でも、出なきゃいけない。
何故なら――
「ううーん…」
ここは群馬県の、とあるホテル。その一室に、ある少年が滞在している。その少年は退屈そうに、体を伸ばした。
――全く、何でこんな所で待機なんだろうなー?
いくらゴールデンウィーク中は休みだからって…。いつもは、いきなり呼び出して、そのまま直行だろ?
昼間なのに薄暗い部屋の中は、まるで少年の心の中を映しているようだった。
別に外に出ても、お金も無いし、何もしたいことは無い。少年はただベッドの上で暇を潰していた。
こうなってしまうと、することと言えば考え事しかないのだが…
――ダメだ。どうしても思い出したくない。
思い出したら、今まで自分がしてきたことが、自分を暴走させるかもしれない。
少年は頭を抱えた。
嫌だ。いやだ。イヤダ…。もう、抜け出したい。――でも、行かないといけない。
だって、オレは、今まで死んでいった人たちのおかげで生きているんだから。
死ぬわけには行かない――
不意に部屋のドアがノックされる。
うつむいていた少年は、ハッと顔を上げる。
「――入るぞ」
「ああ、いいよ」
少年は入ってくる人物を知っていた。こいつは、数日前に説明があった――
部屋の扉が、そっと開いた。男は部屋に入ってくるなり、言った。
「――高見広秋君だね? お待たせした。これから会場へと案内しよう」
こうして2002年度第5回プログラムは、幕を開き始めた。
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